Column税務コラム
住民税とは?
先月から本格的な梅雨に入り天気の心配をする日が増えましたが、税務のトピックとしては、6月は今年度の住民税が課税される月です。所得税と同じようなもの、とあまり住民税を意識されることは少ないでしょうか。所得税は確定申告や年末調整などご自分でする手続きがありますが、住民税には特別な場合を除いて申告の必要がなく、勝手に税額が通知されるイメージもあるかもしれません。
住民税は、居住自治体が税額を賦課決定し、徴収されます。所得割、調整控除、均等割、その他税額控除がされて年間の住民税額が計算されます。
所得割の計算方法は所得税とほぼ同じで、給与所得、事業所得等の所得を合計し、基礎控除、扶養控除、医療費控除等を控除して課税標準を計算します。控除については、扶養控除など所得税と内容は同じで控除額が異なるものがあります。税率は総合課税所得の場合、所得税と違って課税標準額にかかわらず都道府県民税と市町村民で合わせて10%で、低所得、扶養親族の多い方は一定の課税標準までは住民税がかかりません。
均等割は定額で、自治体ごとに異なります。兵庫県の県民緑税など、自治体が独自に課税する税金が均等割に上乗せされている場合もあります。調整控除は住民税に特有の税額控除で平成19年の所得税住民税改正時に生じた調整項目です。
所得税と住民税の違い
計算方法は似ている所得税と住民税ですが、同じ収入に対して課税される時期が異なります。
【所得税】
令和元年分所得税の課税対象 :平成31年1月~令和元年12月の収入と経費
課税時期 :令和元年
給与所得者
平成31年1月から毎月源泉徴収し、12月に年末調整で令和元年分の所得税を計算、精算します
事業所得、不動産所得等があり確定申告をする方
翌年の令和2年3月15日までに確定申告書を提出し、予定納税が必要な場合は予定納税額を精算して納付します。(今年は新型コロナウィルス感染症の影響で4月16日に納期限が延長されました) 予定納税とは、令和元年7月と11月に、前年の所得税額を基に計算した今年の納税予定額の1/3ずつを仮に納税しておくことです。
【住民税】
令和2年度分住民税の課税対象 :平成31年1月~令和元年12月の収入と経費
課税時期 :令和2年
給与所得者
令和2年6月に勤務先に特別徴収税額の通知書が届き、令和2年6月~令和3年5月の間に毎月給与から特別徴収されて納付します。
事業所得、不動産所得等があり確定申告をする方
令和2年6月に個人宛に住民税の納付書が届き、令和2年6月~令和3年5月の間に4回の納期限に分けて納付します。これを普通徴収と言います。給与所得のある方は給与所得分については原則特別徴収され、それ以外の所得分については普通徴収と特別徴収が選択できます。
課税時期の違いに気を付けよう
同じ平成31年1月~令和元年12月の収入と経費に対して、住民税は、令和2年6月以降に納付することになり、収入に変更がない場合は住民税額に変動が少なく負担感が少ないのですが、納付の年に収入が減少していると、収入は少ない、税額は多いとかなりの負担になります。
今年は新型コロナウィルス感染症の影響で、給与所得者、事業所得者ともに2月以降収入が激減した方も多いと思います。納付が難しい場合、各自治体に住民税の納付を延長できる納税猶予の制度があります。令和2年2月以降の1ヶ月間の売上が前年より20%減少していて、一時に納税を行うことが困難であることが条件です。必要な方はご利用ください。申請のご相談も承ります。さらに納付が困難の方は住民税の減免が認められる場合もあります。
収入時期と納税時期がずれるため、住民税納付時期の負担感が大きいのは、不動産や株式等の売却で臨時に多額の利益が出る年も同じです。翌年6月に課税される住民税額も多額になります。不動産の長期譲渡や株式譲渡益に対する税金は利益の20%ぐらいとご存じの方も多いと思いますが、納付書が来てから慌てないように、所得税だけでなく住民税も税額分を残しておく必要があります。申告を依頼する予定があれば税理士にだいたいの税額をお尋ねになるとよいと思います。