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扶養控除等の『異動』について

平成から令和へ元号が変わったのが5月。早いもので今年も残すところあと2か月となりました。
総務の方々はそろそろ今年の年末調整の準備にかかっているころではないでしょうか。
今回はその年末調整でいつも会社に提出している「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」のお話です。

 

扶養親族の異動はリアルタイムで把握しましょう

この「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」ですが、あまりにも「年末調整の書類」というイメージがつきすぎて、年内での『異動』が管理されていないケースがあります。

「結婚しました!」「子供が生まれました!」
という従業員さんからの報告を総務の方はよく聞かれると思います。
この時、社会保険の扶養親族に関する手続きは健康保険証の発行にかかわるので、真っ先に処理されると思いますが、所得税の扶養控除等の『異動』手続きはどうでしょうか。

扶養親族の異動があったとしても、社会保険料に影響はありませんが、所得税の扶養控除等の異動には、給料から控除される「源泉所得税」の金額に影響が現れるので、報告を受けたら迅速に対応をしなければなりません。申告書には「異動月日及び事由」の記入欄がちゃんとありますので、会社が保管している本年分の申告書に異動事項の記載をしてもらってください。

給料計算担当者の方はその異動事項の記載を基に、源泉所得税の計算を行わなければなりません。
(給与計算ソフトを使用している場合は、支給月の扶養控除人数を変更する等の操作を行います)
年末調整の時、翌年分の給与所得者の扶養控除等(異動)申告書を見て「アレ?扶養人数変わりましたか?」と、気づくようなことが無いように気を付けましょう。

 

年の途中で扶養控除等の異動があった場合どうなる

所得税法では「その年の12月31日の現況による」という文言で表されています(所得税法八十五条3)つまり、12月31日時点において控除対象扶養親族であれば、その年の所得税の計算上、扶養所得控除の対象となります。
極端な例ですが、12月31日に入籍した配偶者であっても対象となります。
逆に、控除対象扶養親族であった配偶者と12月31日に離婚してしまった場合は、対象外になりますので注意が必要です。

12月31日の現況によらないケースもあります。
控除対象扶養親族であった方が亡くなってしまった場合は12月31日の現況ではなく、亡くなった日の現況によるとされています。例えば、9月10日に控除対象扶養親族であった父親が亡くなった場合、12月31日時点では父親はいないことになりますが、亡くなった9月10日の時点で控除対象扶養親族であったため、その年の所得税では扶養控除の対象となります。
レアケースではなく自然にあり得ることなのでこちらも注意が必要です。

前者の12月31日に異動があった場合はやむを得ないとしても、実際異動が起きた時期から源泉徴収税額の計算に反映されるまで(会社に異動申告がなされ、給与計算に反映されるまで)の期間が長いほど、年末調整での還付額や徴収額に大きな影響があります。徴収額が大きくなると思わぬトラブルや不満の原因にもなります。

 

正確な源泉徴収事務の遂行のためにも、社会保険の扶養手続きだけでなく、所得税の扶養控除等の異動に関しても注意を向けていただければと思います。

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