Column税務コラム

自社株式の相続と株主総会

株主総会が開催できない?

皆様方の会社は、所定の手続きに沿って株主総会を開催しておられますか?株主総会の開催については、所定の手続きに沿っていないと、株主から総会決議無効の訴えや、株主代表訴訟をされる場合もありますので、注意が必要です。所定の手続きに沿って株主総会を開こうとしても、突然おきた相続により開催することができなくなる可能性があることをご存じでしょうか。

株主総会は定足数に達しないと開催することができません。(会社法309条) 定足数に達するには、普通決議の場合でも議決権数の過半数を持つ株主の出席が必要となっています。議決権数には相続株式を分母に入れて計算します (※1)
例えば、発行済み株式1,000株(議決権数1,000個)で、そのうち600株が相続株式になった場合、1,000-600=400の過半数ではなく、1,000の過半数の議決権を有する株主の出席が必要になるということです。

 

相続の決まっていない株式はどうなる?

では、相続株式のうち遺産分割協議が決まっていない株式(準共有)の議決権はどのように行使するのでしょう。
準共有の株式の議決権を行使する場合、共有者間において、権利行使者1人を定め会社に通知する必要があります。(会社法106条)
権利行使者の指定は、準共有株式の各共有者の持分の価格の総額の過半数を持つ者(民法252条)となっています (※2)相続株式1株当たりの価格が同じであれば、法定相続分に見合った株式数となり過半数を持つ者が、権利行使者となることができます。
上記により指定された権利行使者が行う権利の行使については、共有者は文句が言えません (※3)

共有者間において、権利行使者1人を定め会社に通知するとする規定は、会社の事務処理上の便宜を図るためにあるもので、会社自身が共有者各自で権利を行使することに同意した場合は、この規定は適用されないとなっていますが、会社の同意があったとしても、準共有株式の各共有者の持分の価格の総額の過半数を持つ者の同意がない場合は適法ではないとされています。

例示すると、1人株主の会社で、株主Aが100%株式を所有したまま亡くなった場合、遺言もなく遺産分割協議も行われていない(行われても協議がまとまらない)場合、法定相続分では配偶者Bが50%、長男Cが25%、次男Dが25%となります。
配偶者Bが会社の存続と経営を承継するため、代表取締役に就任しようと、株主総会を招集しようとしますが、相続人それぞれに思惑があって、話し合いで権利行使者が決まらない場合、配偶者B一人だけでは持分価格の過半数に届かないので、権利行使者の指定を受けられません。
結果、定足数に足りず、株主総会が成立しない事態が発生するということです。

 

混乱を招かないために

上記のケースで、配偶者Bが権利行使者になるためには、長男C又は次男Dを懐柔する必要がありますが、遺産分割協議がまとまらないような状態では説得に時間がかかることは明白です。その間も会社は混乱したまま運営を続けていかねばならず、従業員や取引先にも大きな不安を与えることになります。
このような混乱が生じ、会社の運営存続に支障をきたすような事態は、きっと被相続人Aの望むところではないでしょう。

それを回避するためにも、遺言や生前贈与などで過半数の株式(議決権)を持つ後継者を決めておくことが大切になります。

 

参考判例

※1 最決平成27年2月19日 民集第69巻1号25頁
※2 最決平成9年1月28日 集民第181号83頁
※3 最決昭和53年4月14日 民集第32巻3号601頁

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