Column税務コラム

令和4年度 税制改正大綱の主な内容

令和4年12月10日に自由民主党・公明党の両党は令和4年度与党税制改正大綱を決定し、令和4年12月24日に閣議決定がされました。今後通常国会において審議のうえ、4月より新しい税制がスタートする見込みです。ちなみに、昨年度(令和3年度)は、下記の日程で税制改正が行われました。
・令和2年12月10日 与党税制改正大綱決定
・令和3年1月26日 「所得税法等の一部を改正する法律案」が国会に提出
・令和3年3月26日 「所得税法等の一部を改正する法律」が国会で可決・成立

個人所得税

◆ 住宅借入金等特別控除制度の見直し
内容)
①適用期限を令和7年居住開始まで、4年間延長
②借入金残高に対する控除率を0.7%に縮小(現行:1.0%)、控除期間を見直し(新築住宅は原則13年、既存住宅は10年)
③既存住宅含め、住宅の環境性能等に応じた借入限度額の上乗せ措置を講じる
④令和6年以降に建築確認を受ける新築住宅は、一定の省エネ基準を満たす場合のみ適用可とする
⑤既存住宅の現行の築年数要件を廃止し、新耐震基準適合住宅であること(昭和57年以降に建築された住宅は新耐震基準適合住宅とみなす)を要件とする
⑥適用対象者の所得要件を2000万円以下に引き下げる(現行3000万円)
⑦一定の新築家屋等について床面積要件を「40㎡以上」に緩和する(所得金額1000万円以下の場合に限る)

適用)
令和4年以後の居住開始について適用。ただし、令和3年改正の特例措置(注文住宅の場合、令和3年9月末までに契約締結し、令和4年末までに入居)の適用受ける場合、令和3年改正の特例措置により控除率1%・控除期間13年の適用可能。

◆ 既存住宅の「耐震」「バリアフリー」「省エネ」「三世代同居」「長期優良住宅化」リフォームに係る特別控除制度の延長・見直し
内容)
①適用期限を令和5年12月31日まで、2年間延長
②ローン型と投資型を整理統合し、必須工事の標準的工事費用の控除対象限度額の10%、及びその他工事費用(必須工事と合わせて1000万円が限度)の5%を控除する
③標準的工事費用の額について見直し、省エネリフォーム工事の一部要件を見直し

◆ 上場株式等の配当課税特例の要件見直し
内容)
総合課税の対象(申告分離課税の選択不可)となる「所有割合3%以上」の大口株主の判定で、直接保有だけでなく、その対象者の同族会社の保有株数も合算して判定する

適用)
令和5年10月1日以後支払いを受ける上場株式等について適用

 

資産税

◆ 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置
内容)
①適用期限を令和5年12月31日まで、2年間延長
②非課税限度額を、耐震・省エネ・バリアフリー住宅は1000万円、その他は500万円に縮小
③既存住宅の現行の築年数要件を廃止し、新耐震基準適合住宅であること(昭和57年以降に建築された住宅は新耐震基準適合住宅とみなす)を要件とする
④受贈者の年齢要件を18歳以上(現行:20歳以上)に引き下げる

◆ 土地に係る固定資産税・都市計画税の負担調整措置
内容)
商業地等で負担水準割合が60%未満のものについて、令和4年度に限り、負担調整措置による課税標準額の上昇幅を評価額の2.5%(現行:5%)とする。

 

法人課税

◆ 給与等の支給額が増加した場合の税額控除制度の見直し
内容)
①「継続雇用者」に対する給与が3%以上増加した場合、「控除対象雇用者給与等支給増加額」の15%につき税額控除適用
②「継続雇用者」に対する給与が4%以上増加の場合、税額控除10%上乗せする
③「教育訓練費」が20%以上増加の場合、税額控除5%上乗せする

適用)
令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度

◆ 《中小企業者等(※)》 所得拡大促進税制の見直し
内容)
①「雇用者給与等支給額」が1.5%以上増加した場合、「控除対象雇用者給与等支給増加額」の15%につき税額控除適用(現行通り)
②「雇用者給与等支給額」が2.5%以上増加の場合、税額控除15%上乗せする
③「教育訓練費」が10%以上増加の場合、税額控除10%上乗せする

適用)
令和4年4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度
(※)中小企業者等…資本金1億円以下(ただし同一の大規模法人から2分の1以上の出資を受ける法人等を除く)、従業員数1000人以下、協同組合等

◆ オープンイノベーション促進税制の拡充
内容)
①適用期限を令和5年度末まで2年延長
②対象となるスタートアップ企業について、研究開発割合が10%以上の赤字会社は、設立後15年未満(現行:10年未満)も対象に拡充
③対象となる特定株式の「保有見込期間要件」を3年(現行:5年)に短縮

◆ 大法人に対する法人事業税所得割の税率の見直し
内容)
外形標準課税対象法人(資本金1億円超)の事業税の所得割について、年800万円以下の所得に係る軽減税率を廃止し、標準税率を1.0%とする

適用)
令和4年4月1日以後に開始する事業年度から適用

◆ 少額の減価償却償却資産の損金算入制度の見直し
内容)
少額減価償却資産(10万円未満)の取得価額の損金算入制度、一括償却資産の損金算入制度、中小企業者等の少額減価償却資産(30万円未満)の取得価額の損金算入制度の特例について、対象資産から貸付(主要な事業として行われるものを除く)の用に供したものを除外する

適用)
令和4年4月1日以後に取得する減価償却資産について適用

 

消費税

◆ 適格請求書等保存方式に係る見直し
内容
①免税事業者は「令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間」について、期の途中の登録日からインボイス発行事業者となることができることとする
②上記の経過措置の適用を受ける場合(令和5年10月1日の属する課税期間に登録を受ける場合を除く)、登録日の属する課税期間の翌課税期間からその登録日以後2年経過する日の属する課税期間まで、免税事業者の適用はなし。(課税事業者の2年継続が強制される)

 

そ の 他

◆ 財産債務調書制度の見直し
内容)
その年の12月31日において有する財産の価額の合計額が10億円以上である居住者も提出義務者とする

適用)
令和5年分以後の財産債務調書について適用

◆ 上場株式等の配当所得等に係る課税方式
内容)
①個人住民税において、特定配当等及び特定株式譲渡所得等に係る所得税の課税方式を所得税と一致させる
②上記に伴い、上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除の適用要件が所得税と一致するよう規定が整備される

適用)
令和6年分以後の個人住民税について適用

◆ 電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存制度
内容)
令和4年1月1日から令和5年12月31日までの2年間について、電子取引に係る電子データ保存ができていない場合でも、出力書面等の保存で保存要件を満たす経過措置を設ける

適用)
令和4年1月1日以後に行う電子取引について適用(令和3年12月27日に改正省令公布)

 

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