Column税務コラム
申告期限の延長
所得税・贈与税の確定申告は例年3月15日が申告期限ですが、今年は昨年と同様に新型コロナウィルス感染症の感染拡大の影響により、4月15日まで期限が延長されています。
また、個人事業者の消費税の申告期限も4月15日まで延長されています。でも、既に確定申告を済ませている方も多くいることと思います。
申告すると税金が還付される
ところで、自分は「確定申告は関係ない」と思っている方でも、上場株式等の配当金を受け取っている場合は、もしかしたら、税金が還付されるかもしれません。
上場株式等の配当金を受け取る際には、20.315%の税金(国税15.315%、地方税5%)が源泉徴収されています。
この配当金に関しては、所得税の確定申告で総合所得に含めて申告する方法、所得税の確定申告で分離課税を選択する方法、そして、何もしない(申告不要)という3つの選択肢があり、配当所得以外の所得の状況によっては、税金の還付を受けることができます。
このような実例があります。配当所得以外の所得が公的年金のみで、上場株式等の配当金を総合所得に含めて申告し約40万円の国税の還付を受けた方や、特定口座での上場株式等の売買では利益が出ていたので、特定口座の上場株式等の配当金のみを総合所得に含めて申告し、約50万円の国税の還付を受けた方もいました。
住民税の増税・社会保険料が高くなるのでは?
ところで、配当所得を申告して国税の還付を受けても、住民税は増税になってしまう場合があります。
配当金に対する住民税の源泉徴収は5%の税率なので、所得税の申告をすると課税される所得金額によっては5%分以上の住民税を払うことになってしまいます。
さらに、国民健康保険料、後期高齢者医療保険料や介護保険料は、住民税の申告を基に計算されますから、所得税の申告だけをして、そのままにしておくと保険料が高くなってしまいます。
この制度は複雑なので詳しい専門家にご相談を
そこで、所得税の申告とは別に、上場株式等の配当金を申告不要とする住民税の申告書を提出すれば、税と社会保険料の負担を少なくすることができます。
上場株式等の配当金に対する税の制度はたいへん複雑なものになっています。
所有する株式が国内株式か外国株式か、投資信託の場合にはどのような資産で運用するかによって配当控除の計算が変わります。
さらに、所得税は累進税率なので所得によって税率も変化するため、「3つの選択肢」のどれを選ぶのが有利かの判断が簡単にはできませんので、専門家にご相談されることをお勧めします。